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リンパマッサージ

2011年12月24日

●リンパマッサージの原理と方法

人間の身体は70%が水分でできていますが、その水分の内訳はかなり複雑で、水だけではなく、さまざまな液体が体内に存在しています。リンパはその中のひとつで、一般的には「リンパ液」と呼ばれています。
リンパ液は、リンパ管、リンパ腺を通り、体内の到るところに流れ、内臓や皮膚といったところを、網の目状に広がっているのです。そういう意味では血液に似ていますが、実は成分自体も血液とほとんど変わりはありません。そもそもリンパ液自体、血管から滲み出た血漿なので、厳密にいえば血液の一部なのです。心臓のポンプによって送り出される血液は毛細血管に運ばれ、そこから血漿水だけが組織に出てリンパ液になります。リンパ液は全身を流れ、体重の60%程度を占めています。手にできたマメややけどの水ぶくれ、関節にたまる水、涙などはすべてリンパ液です。ただ、リンパ液は血液とは明確に流れる管が異なり、流れる仕組みも異なります。

血液が体中に流れるのは、心臓がポンプの役割を果たしています。このポンプ機能が停止すると、血液が循環しなくなります。一方、リンパの方は心臓のようなポンプの役割を担う器官はありません。全身の筋肉の縮小によって、ゆっくりと少しずつ全身へ移動しているのです。この働きは、必ずしも筋肉を意識的に動かすことのみで行われているわけではなく、たとえば皮膚が気温や外気からの刺激を感じ取ることで、筋肉の縮小を知らない間に行っているのです。そのため、寝たきりの人でもリンパは滞りなく流れています。
リンパ液は細胞に栄養を与え、体内に発生した老廃物を運び出す役割を果たしています。食べ物は腸から吸収されて乳糜管(にゅうびかん)という細いリンパ管によって吸い上げられ、これが血管に入って全身に運ばれ、毛細血管から出てリンパ液となり、全身の神経や筋肉、内臓の組織細胞を養っているのです。
また、静脈で取り込むことができなかった老廃物をリンパが運搬し、内臓でキレイに処理した後に静脈へ戻すこともしています。細菌や老廃物から身を守り、病気にならないようにするためのフィルターの役割も果たしています。

組織から出た老廃物はリンパ液によって集められ小さな毛細リンパ管に入ります。それが数本集まって(輸入管)米粒大の小さなリンパ腺に集められ、そこから一本のリンパ管(輸出管)に入ります。このリンパ管がさらに集められてより大きなリンパ腺に入ります。このような過程を繰り返しながらより大きなリンパ管とリンパ腺にリンパ液が集められていきます。
最も大きなリンパ腺は首の付け根と、脇の下、ももの付け根の3箇所にあります。ここに集められた老廃物は体内の太いリンパ管に吸収されて静脈に入り、腎臓で尿となって排出されます。
リンパ管をリンパ液が一定の方向に流れる仕組みは、リンパ管の中にある弁の働きによるのです。リンパ管のところどころには弁があり次のリンパ腺の方向に向いています。リンパ管は押されると次ぎのリンパ腺のある弁の開いた方向にリンパ液を流し、逆に流れようとすると弁が閉じます。このため、運動をして筋肉が伸び縮んだり、手でもんだり、さするとリンパ液がリンパ腺の方向に流れるのです。首、腕の付け根、脚の付け根に集まったリンパ腺は人が手足や首を動かすことによる圧迫運動がポンプのような作用をして輸出管にリンパ液を押しだし、輸入管からリンパ液を吸い込む働きをしています。
リンパ液はその循環がうまくいかなくなると、リンパ液が全身にくまなく流れることができず、結果として身体に悪影響が出てしまいます。このような「リンパトラブル」を正常に戻すのが、リンパマッサージの目的なのです。
リンパマッサージはリンパ系の流れにそって、全身を揉むこととさすることによってリンパ液による老廃物の排出の手助けを行います。しこりが有る場合はもみほぐして、さすることによりリンパ腺へと吸収させます。

さすり方は、四指や、手首の付け根の膨らみ部分を使用し、深部のこりをほぐすには親指を使います。リンパ液の流れの方向にさするときは力を入れ、指や手のひらを皮膚から離さないで力を抜いて戻ということを繰り返すことによりマッサージを行います。力の入れ加減は皮膚の圧痛の程度によって調整していきます。
リンパマッサージは微熱があったり、化膿している部分が有る場合は行うことはせず、炎症や化膿が直ってから行います。

●主なリンパ節

リンパトラブルの治療で重要なのは、トラブルが起こった部位の特定を正確に行うことです。
リンパマッサージをする上で、どこをマッサージすれば良いのかという点を把握できていないと、効率は上がりません。
リンパマッサージはあくまでも部分マッサージなので、その効果をしっかりと発揮するには、実際に滞っているリンパ管がどこなのか、ある程度の目星を付ける必要があります。
そこで鍵を握るのが、リンパ節の存在です。

リンパ節は、各リンパ管の合流地点のことです。合流部分にあるリンパ節は、細菌を殺し、老廃物をせき止めるフィルターとなる役割を担っています。このリンパ節が正常に働くことで、体内の健全性が保たれているのです。全身くまなく存在しており、その数は約800ともいわれています。
この部分は、いわゆる「フィルター」にもなっています。リンパ液によって運ばれてきた老廃物は、このリンパ節で濾されています。リンパ節が正常に働いていないと、リンパは老廃物を運び続けるだけのものとなってしまい、うまく処理ができない状態になるのです。リンパマッサージは、リンパ節の集中している部分へリンパ液を流す手助けをします。

リンパ節の主な部位は以下にあげる7箇所があります。最も重要なものは首の付け根と、脇の下、ももの付け根の3箇所です。
・鎖骨リンパ節(首の付け根)
鎖骨のくぼみの近くにある「鎖骨リンパ節」も重要な役割を果たします。
この部分のリンパは、全身のあらゆるリンパが流れ込み、最後に心臓へと戻ってくる一歩手前の場所です。
よって、全身から集められた老廃物が押し寄せてくる場所でもあります。
そのため、鎖骨リンパ節に問題が生じると、肩こりや首のこりが慢性的に発生します。

・腋窩(えきか)リンパ節(脇の下)
脇は人間の弱点のひとつで、くすぐったかったり、筋肉がなかったりするため、ナイーブな場所という印象が強いですね。実際、脇にはリンパ管が集中していて、ここにトラブルが生じると肩こりの原因になりやすく、腕のたるみにもつながります。

・鼠頸リンパ節(ももの付け根)
下半身のむくみの原因となる太腿の付け根にある「鼠頸(そけい)リンパ節」も、リンパマッサージを行う上では重要な場所です。
鼠頸リンパ節は、冷え性やセルライトの原因にもなるようですね。

・耳介リンパ節
耳たぶの後ろ、少し下の部位に該当する「耳介リンパ節」を紹介しましょう。
「耳介」は「じかい」と読みます。
耳介リンパ節は、よく「リンパが腫れた」と表現される場所です。
風邪などの病気になった際に、この部位が腫れてしまうケースはよくあります。
また、耳介リンパ節に問題が生じると、耳の炎症や耳鳴りなどが起こりやすくなります。

・顎窩(がくか)リンパ節
顎の一番奥にある「顎窩リンパ節」。
顎窩リンパ節は顔から首へとリンパ液が流れるリンパ管が集中しており、顔に関係するリンパ全般の中心となる部位です。
そのため、美容目的でリンパマッサージを行う人にとっては、非常に重要な部位となります。
この顎窩リンパ節にトラブルが発生すると、顔全体がむくんでしまう可能性が高くなります。
また、たるみや二重あごなどになりやすくなってしまいます。
顔痩せしたい人や、顔を小さくしたいという人にとっては、顎窩リンパ節のマッサージは必須なのです。
顔にあるリンパ節は、美容、健康の両面において重要な役割を担っています。
リンパマッサージの対象の中でもかなり重要な部位です。

・腸骨リンパ節
骨盤の上部にある「腸骨リンパ節」は、女性にとって非常に重要な箇所です。
ここは、子宮や卵巣といった部分と密接な関わりがあり、トラブルが生じるとそれらの器官の免疫力が低下します。また、お尻がたるんでしまう原因にもなります。
尚、腸骨リンパ節は「腹部リンパ節」とも呼ばれています。

・膝窩(しっか)リンパ節
実際には膝の上側にあるリンパ節ですが、ここはリンパ液を体の上部に押し上げるための負荷が最もかかる場所です。第二の心臓と呼ばれるリンパ節です。
よって、しっかりマッサージをしないとリンパ液が滞りやすくなってしまいます。

●部位別リンパマッサージ<

リンパマッサージはリンパ節の集中している部位へ向けてさすり、しこりがあれば揉みほぐします。部位別の主なさする方向には以下のものがあります。

・頭部
耳の後ろから首にかけてさする。
後頭部を下にさする。
後頭部の下、うなじ部分を下方へさする。
首の側面を付け根に向かって斜め前方にさする。
両手の4指を使って、こめかみかや目尻から首のつけねにかけて下方へさする。
顔面を鼻筋からあごの付け根に向かってさする。
あごの下を前方から後ろへさすり、下顎リンパ腺のしこりをとる。

・肩
肩の裏側を後ろから前にさすって肩のこりをとる。
肩口の後ろを脇の下へ向けてさする。
肩口の前を脇の下へ向けてさする。

・胸部
肋骨前面を体の中心から脇の下に向かってまんべんなくさする。
肋骨下方をみぞおちから脇の下に向かってまんべんなくさする。

・背面
肩胛骨の縁にそって脇の下に向けてさする。
背中全体を背骨から脇の下に向けて広くさする。
背中の下部を背骨から側腹にかけて横にさする。

・腹部
みぞおちから斜め下へ側腹へ向けてさする。
脇腹からへその下、下腹部に向けてさする。

・腰部
臀部全体を側腹に向けて斜め上方にさする。
腰の側面を脚の付け根に向かってさする。

・腕
上腕の外側を上方にさすりながら、しこりをとる。
上腕の内側を脇の下に向けてさする。
下腕の内側を上方にさする。
下腕の外側を上方にさすってしこりをとる。

・脚
足の指の間から足首にかけてさする。足首から上方にさする。
アキレス腱から膝裏にかけてさする。ふくらはぎを上方にさすってしこりをとる。
内股を脚の付け根に向けてさする。
ももの外側を上方にさする。
ももの後ろ側を上方にさする。

●リンパトラブルの原因

身体中に流れるリンパを通すリンパ管は、無数に存在しています。それだけ多くの数の管が、全身にくまなく広がっているということです。そういう意味では、その中のひとつがトラブルを起こしてしまうことは、ある意味仕方のないことなのかもしれません。とはいえ、ひとつでもリンパの流れが滞れば全身に悪影響が出るだけに、見逃すわけにはいかないのも事実です。リンパの流れが悪くなると体調悪化の原因となり、日常生活に支障が出ます。
そのためにリンパマッサージを施すのですが、その前になぜリンパの流れが悪くなるのかということを考える必要があるでしょう。
リンパマッサージは、いわゆる「治療」ですが、それを学ぶ前に、日常の中からリンパトラブルの回避、すなわち「予防」をしておくことも必要です。
リンパトラブルの多くは、リンパ液がうまくリンパ管を流れず、滞ってしまうという現象を指します。
ではなぜリンパがうまく流れないのかというと、この原因は厳密には非常に多くあります。
ただ、はっきりとしているのは、その原因の結果、筋肉の収縮の頻度が少なくなるということです。
筋肉がリンパを全身に運んでいるので、そのリンパの流れが悪くなるということは、筋肉が健全な働きをしていないということになります。
この理論からいえることは、まず運動不足がリンパトラブルの大きな原因のひとつになるということです。
筋肉があまり刺激を受けなければ、必然的にリンパの流れは悪くなります。日頃全く運動をしていないと、リンパを流す力も弱くなるということです。リンパの循環が悪くなる最大の要因といっても良いでしょう。
この解決はそれほど難しいことではありません。
たとえば、体力づくりのように激しい運動を毎日行うという必要は全くなく、単に決まった時間散歩するだけでも十分な効果が現れます。
一日のうち30分家の周りを歩くだけでも、リンパトラブルのリカバリーになるのです。
また、冷え性もリンパトラブルの原因のひとつです。
血液のトラブルという印象が強い冷え性ですが、身体が冷えるとリンパが滞りやすくなるのです。

●リンパマッサージの効果

実際にリンパマッサージを行う前に、まずリンパマッサージをすることでどのような改善効果が得られるかを知っておく必要があります。
効果が実感できず、漫然とマッサージを受けるだけでは、本当の意味での体質改善は困難です。
自分のどこに問題があって、どの部分のトラブルを解消したいのか、またどこを改善したいのかということを事前にわかっておけば、マッサージによる効果が現れたかどうかも判定しやすいでしょう。

リンパマッサージを行う上で期待できる効果は、主に「健康」「癒し」「美容」の3つあります。
そして、この3つからもいくつかの効果が派生しています。
さまざまな効果が複合的に期待できるのが、リンパマッサージのメリットなのです。

通常のマッサージは、血行をよくするためのものです。
特徴としては、問題があるとはっきりしている箇所を直接揉んだり叩いたりする、という点が挙げられます。
たとえば、肩こりがひどい場合にマッサージを行うとなると、やはり肩を揉むことが圧倒的に多いでしょう。
もちろん、それも効果的ではあります。
しかし、肩こりの一時的な緩和にはなっても、根本的な解決にならないケースが多いのも事実です。

リンパマッサージの最大の効果といえるのは、根本的な治療ができるという点です。
リンパの流れが滞っていることが原因で起きているトラブルを解消するには、その滞りをほぐして流れをよくするしかありません。
そしてそれは、こっている部位とは異なる場所で起きている可能性が多々あります。
それを治療するのが、リンパマッサージなのです。
リンパマッサージのメリットは、健康面の根本的な向上や問題解消であると言えます。。
まず、なんといっても「こり」の解消が最も大きいですね。
肩こり、首こりといった症状は現代病の典型であり、最も多くの人が悩むトラブルでしょう。
近年はパソコンの普及に伴い、こういった「こり」が若年層でも当たり前になってきています。
そのため、肩こりや首こりの治療法は非常に多くの人が注目しているところなのですが、リンパマッサージはまさにその根本的な治療の一翼を担っているといえます。

肩こりや首こりの原因はたくさんありますが、リンパの流れが悪い状態になっていることで起こるケースはかなり多く、その状態になると出てくる「乳酸」をいかに排出するかということが重要となってきます。
リンパマッサージは、リンパの流れを正常にし、この「乳酸」を流してしまうことで首こり、肩こりを解消できるのです。

また、疲労回復という効果もあります。
リンパの流れが滞っていると、全身の筋肉に老廃物が溜まります。
この老廃物は「疲労物質」となり、慢性的な疲労の元となるのです。
これも、リンパの流れさえ改善されれば起こり得ない症状です。

もうひとつ、健康に関する効果として、「免疫力の向上」があります。
リンパには細菌の駆除を行うフィルターの役割がありますが、リンパの流れが悪いとそのフィルターがうまく作用しなくなるのです。
よって、リンパマッサージを行うことでフィルターを常に健全な状態にしておけば、細菌が体内で悪さをすることなく、病気になりにくい身体を作ることができます。

リンパマッサージには癒し効果が有ります。
数あるマッサージの中で、近年注目を集めているのが、リラックスできるマッサージです。
基本的にマッサージは、身体の疲労を抜いたり、肩こりや首こりといった症状を和らげたりするものですが、その副次的なものとして「気持ち良い」という状態を生み出しますね。
マッサージを受けていると、眠くなる人も少なくないでしょう。
それだけ、身体がリラックスしている証拠です。
そのため、本来は副産物であるはずのこのリラックスを求めて、マッサージを受けに行く人も少なくありません。これが、いわゆる「癒し効果」です。
癒しに関しては、精神面の治療という意味合いもあります。
近年の社会においてはストレスが非常に大きな問題となっており、これは日本だけではなく、世界全体の社会問題となっています。
ストレスが溜まりやすい環境は年々増加しており、精神的に負担がかかっている人は増える一方です。
うつ病など、精神的な病を抱える人も、爆発的に増加しています。
そんな中で、リンパマッサージが生み出す「癒し効果」には、そのストレスを解消する効果が期待できます。
リンパマッサージでリンパの流れをよくすると、非常にリラックスした状態になります。
各種神経が落ち着くのです。
そのため、自律神経が失調気味な人にとってもリンパマッサージは非常に有効なのです。
また、リンパマッサージにはリフレッシュ効果もあります。
何か嫌なことがあった場合等、マッサージを受けてリンパ節に刺激を与えると身体がリフレッシュされ、感情もリセットされるのです。

リンパマッサージが大流行した背景には、美容への効果が高いという点が大きかったようです。
マッサージというと、通常は健康面の効果を期待されて行うものですが、その一方で、90年代以降は「美容に効果があるマッサージ」が大きく宣伝され、その需要を拡大してきました。
特にエステのブームと定着化が大きく、それによってマッサージと美容の関係がより密接になったといえます。リンパマッサージが美容面における効果の高いマッサージといわれる根拠には、むくみの解消という点が挙げられます。
特に年齢をある程度重ねてくると、身体の一部がむくんでプロポーションが崩れる人がかなり多くなってきます。
また、顔がむくんでしまうケースも少なくありません。
このむくみ除去やたるみの予防などの効果は「スリミング効果」と呼ばれ、リンパマッサージの主要な効果のひとつといわれています。
また、リンパマッサージには美肌効果もあります。
肌のくすみが気になる人にとっては朗報ですね。
こういったくすみの原因は、老廃物にあります。
体内の老廃物がキレイに排出されず体内へ蓄積され、その老廃物を含んだ水分が溜まることでくすんでしまうのです。
よって、リンパマッサージでリンパを刺激することで、老廃物をキレイに取り除ける体質に戻せば、くすみは取れるのです。
たるみ予防は、バストアップにもつながります。
人間の肌がたるむ要因は、自重にあります。
老廃物が溜まってしまい、その重さで垂れてしまうのです。
よって、バストの張りの維持に健全なリンパの流れは必須なのです。

●肩こり

現代病として、若年層の間でも問題視されている肩こり。
今では、小学生ですら肩こりに悩む時代だといわれています。
ただ、肩こりと一言でいっても、その原因や症状はさまざまです。
肩全体が張っている状態の人には、耳介リンパマッサージが対応しています。
耳の後ろにあるくぼみから肩の先の方へ向けて指を四本当て、それを流すように刺激します。
これを数回繰り返すだけで、効果が期待できるでしょう。

近年多く見られる症状に、首の付け根あたりにこりを感じる肩こりがありますが、この場合のリンパマッサージは首の左右を刺激します。
耳の後ろの方に指を当て、首筋に沿って指で押し、肩の中央まで流す形で行います。
首にこりを感じている人の多くは、この部位にちょっとした痛みを感じることと思われます。

肩が熱を持っている場合は、肩ではなく手首から肘にかけてのリンパに問題があると思われます。
手首からヒジの方向へ、少しずつ親指で押していき、さすっていくことを数回繰り返すと良いでしょう。
特にヒジ回りには違和感を覚える人が多いかもしれません。

逆に肩が冷えている場合は、二の腕のリンパを刺激すると良いといわれています。
この場合は、手のひらで二の腕をつかみ、ヒジの方へ向けて揉むという形でマッサージを行うと良いでしょう。
肩こりの原因が多いとされる肋骨回りのマッサージも重要です。
背中の背骨の際から、肩先へ向けて指で押し込むようにして流していきましょう。

●腰痛

腰痛は、あまり若年層には縁がないものではありますが、ある程度の年齢にさしかかった人は、よく抱えるトラブルです。
腰は、身体全体を支える屋台骨となる箇所なので、ここに痛みが生じると、人間は一気に崩れます。
それは単に、立ち上がったり立っていたりすることが困難というだけではなく、精神面でも大きなダメージを受けます。
腰痛が原因で、うつになる人も少なくありません。
それくらい、腰痛というものは大きな問題なのです。

そんな腰痛の原因のひとつに、リンパの流れの悪化が挙げられます。
リンパが滞ることで、腰に大きな違和感や鈍い痛みが生まれるケースは少なくありません。
そして、腰まわりのリンパも複数あるので、それぞれの箇所でのリンパマッサージの方法が存在します。

オーソドックスな方法としては、背中に両手を回して、手のひらを押し当てたまま腰の方まで下ろしていき、圧迫するという方法があります。
腰のリンパマッサージとしては最も簡単で、これを数回行うだけである程度の効果は期待できます。
漫然とした腰痛の場合は有効です。

一方、仙骨部に違和感や痛みを抱えている人には、仙骨のリンパマッサージが有効です。
腰のちょっと上の部位から仙骨へと向けて、斜め下へと流す形で行います。
ちなみに、仙骨というのは背骨を支えている骨で、お尻の上にぽっこりと出た部分の骨です。
もうひとつの方法は、仙骨から上へ向けて押していく方法です。
背骨の方へ、ぐいぐい押しながら進めていくと良いでしょう。

●倦怠感

身体がだるい、疲労が抜けない、何かわからないけどやる気が起きない…。
身体がそういった状態に陥ることは、よくあるものです。
こういった症状は、総じて「倦怠感」といわれています。
倦怠感の厄介な点は、原因や症状、問題箇所が特定しにくい点にあります。
原因は非常に多く、単純な体調不良や疲れといったオーソドックスなものから、ストレスや精神的圧迫などの内面の問題、そして身体の一部のトラブルなども該当します。
症状も同様で、どこか悪いのか自分でもなかなか説明できないというケースが多々あるようです。
これらのことからもわかるように、倦怠感は問題のある部分を特定するのも容易ではないので、腰痛のような痛みこそないものの、場合によっては深刻な問題となり得る症状です。

そんな倦怠感に有効なのが、リンパマッサージです。
リンパの流れが悪くなると、倦怠感が発生する可能性がかなり高いといわれています。
100%リンパが原因ということではないのですが、試してみる価値は十分にあるでしょう。

全身がだるいという場合は、全身疲労の可能性があります。
この場合は全身のリンパが滞っており、老廃物が流れず、疲労物質と化してしまっていると推測されます。
よって、全身にリンパマッサージを施すのが一番効果的です。

その中でも特にポイントとなる箇所は、鎖骨下の鎖骨リンパ節です。
この部位には全身の老廃物が集合するので、ここが滞ると全身のリンパの流れに影響が出ます。
鎖骨下のくぼんだ部分を押さえ、それを内側から順番に押していきましょう。
この他、首や腕、足などのリンパマッサージを行うと効果的です。

●眼窩疲労

眼窩疲労は、リンパマッサージによってある程度軽減することができます。
目の疲れは単に目がかすむなどの視力への影響に留まらず、肩こり、首こりの原因になることも多く、吐き気や頭痛などの症状を起こす可能性もあります。
よって、これらの症状を抱えている人は、眼窩疲労を疑う必要があります。
首や肩がこっている人も、その部位だけではなく、目の周囲のリンパマッサージを行ってみると良いといわれています。

目のリンパマッサージは、他の部位と比べるとやや難しくなります。
その理由としては、やはり急所が多いという点が挙げられます。
思いきり圧迫することが難しいナイーブな部分なので、力加減が難しいのです。

まずは目の上に温かくしたタオルを乗せ、血行をよくしましょう。
それだけでもある程度の疲労回復につながります。
目の周囲が温まってきたら次は目をつむって瞼の上から眼球を圧迫するように押し、軽く回すようにして揉みほぐします。
これを数回行いましょう。

次に、眉頭の下にあるくぼみに指を当てます。
そこをある程度力を入れて圧迫してみましょう。
親指が良いですね。
両手の4指を使って、こめかみかや目尻から首のつけねにかけて下方へさすります。
また後頭部の下からうなじを下方にさすって緊張感をとります。
これを繰り返すことで、目の疲労を取り除くリンパマッサージとなります。

●胃の不調

胃は非常にナイーブな器官で、人間の身体の中でもトラブルを多く抱えやすい箇所でもあります。
特にストレス面の影響は強く、何か心配ことがあると胃が痛くなるという人は多数いることでしょう。
重大な病気に悩む人もたくさんいますが、多くの人は胃もたれや胃炎などで苦しんでいます。
この胃もたれは、リンパが原因になっているケースが少なからずあります。

胃の周囲にあるリンパが滞っていると、消化液の分泌がスムーズに行われない状態に陥ります。
そうなると消化不良を起こし、胃もたれの原因となります。
よって、胃もたれを感じている人は、リンパマッサージをすることによって症状を解消できる可能性があるのです。

胃のリンパマッサージは、目と同じく下準備が必要です。
ナイーブな部分なので、まず胃の裏側にあたる背中の部分、そしてみぞおちの部分に温かいタオルをしばらく当てておき、リラックスした状態を作りましょう。

実際にマッサージする箇所は、肋骨下、背中、腰のあたりです。
背中のマッサージは、胃の裏側を親指があたる位置に両手を置いて、親指を押しつつ腰の方へと流していき、その後でおへその方へと圧迫していくというリンパマッサージを行います。
吐き気がするときは、みぞおちから脇の下へ向けて、みぞおちから斜め下へ側腹へ向けてマッサージします。肩胛骨の縁、背中を脇の下に向けてさすってこりをとります。
胃けいれんの場合は、みぞおちから斜め下へ側腹へ向けて、そして脇腹からへその下、下腹部に向けてリンパマッサージを行います。
食欲不振の場合は、背中の下部を背骨から側腹にかけて横にさすり、みぞおちから斜め下へ側腹へ向けて、脇腹からへその下、下腹部に向けてマッサージします。

●頭痛や頭部の不調

頭痛は、非常に原因がわかりにくい症状です。
脳が悲鳴をあげるのは、さまざまな理由が考えられるからですね。
たとえば、脳自体にダメージがあるケースもありますが、それはごく稀な例です。
身体のどんな部分に問題があっても、その信号が脳に集まる以上、頭に違和感や痛みが生じるのは必然なのです。
ですから、頭とは遠い下半身に頭痛の原因が潜んでいる可能性も十分に考えられます。
そういう意味では、頭痛はとても厄介な症状といえます。

そんな頭痛の原因のひとつに、肩こりや目の疲れといったものがあります。
肩こりや疲れ目が頭痛を引き起こしている場合は、まずこれらの問題を解消しなくてはなりません。
そのため、リンパマッサージが必要となるケースも多々あります。

肩や目のリンパマッサージは、基本的には肩こり、眼窩疲労の際のリンパマッサージと同じ方法で問題ありません。
それに加え、首のマッサージや側頭部のマッサージもしておきましょう。
首のマッサージは、首こりを解消する際に行う方法ですね。
首の後ろや頭の付け根の部分を指で押さえ、圧迫します。また、肩の裏側を後ろから前にさすって肩のこりをとります。首の不調があるときは、これらに加えて後頭部から下方へ首筋をさすっていきます。
側頭部に関しては、こめかみのあたりに人差し指を当て、それを軸にして薬指、小指などを使ってくまなく圧迫してみましょう。

側頭部は、比較的皮膚が薄い箇所なので、強い刺激を与えると少し痛みが伴います。
そのため、あまり強くしすぎない程度に行う方が良いでしょう。
耳の不調の場合は、耳の上に耳介リンパ節があるので、そこを少し集中して行うとリンパの流れがよくなりやすいでしょう。
耳の後ろから首にかけて、および耳の下から首の前の付け根にかけて、この方向にさすります。
歯茎のはれや舌のもつれの場合は、あごの下を前方から後ろへさすり、下顎リンパ腺のしこりをほぐします。次にあごの下から首の付け根にかけてさすってリンパの流れを良くします。

●便秘

女性の大敵ともいえる便秘は、ある意味最も身近な現代病なのかもしれません。
特に、ダイエットを行っている女性は便秘になる可能性が非常に高く、多くの人が悩んでいる症状のひとつです。
ただ、誰でもそうだからといって、便秘であることが大したことじゃないと認識するのは間違いです。
痛みが伴う症状ではないためにややもすると放置されがちですが、実は便秘というものはとても厄介な問題を抱えている立派な病気です。

便秘になると、さまざまな別の症状が引き起こされます。
まず頭痛や食欲不振といった問題にはじまり、肩こりや首こり、腰痛の原因にもなります。
また、精神的なストレスが溜まることも多く、イライラが募ることでさらにストレスも増えるという悪循環に陥ります。
さらに、便秘が続くと腸が痛み、深刻な問題に発展するケースも少なくありません。
そういう意味では、早期に解決しておきたい症状です。

便秘とリンパには、かなり大きな関連性があります。
腸まわりのリンパに刺激を与えると、腸の働きが活性化され、排便を促す作用が生まれます。
よって、リンパマッサージは便秘にも効果があるのです。

便秘を解消するためのリンパマッサージは、腰まわりと下腹部に行います。
下腹部のマッサージの際には、まず温かいタオルを当て、その後おへその左斜め下と両サイドを刺激していきます。
腰に手を当て、その体勢で揉むのも効果的でしょう。
また、おへそを軸にして下腹部を中心に時計回りにしてなでていくだけでも、リンパへの刺激になります。
・下痢
背中の下部を背骨から側腹にかけて横にさする。みぞおちから斜め下へ側腹へ向けてさする

・便秘
背中の下部を背骨から側腹にかけて横にさする。みぞおちから斜め下へ側腹へ向けてさする。脇腹からへその下、下腹部に向けてさする。
・安産
臀部全体を側腹に向けて斜め上方にさする。
・生理不順
臀部全体を側腹に向けて斜め上方にさする。背中の下部を背骨から側腹にかけて横にさする。脇腹からへその下、下腹部に向けてさする。

●不眠

あまり関連性がないように思われる不眠とリンパですが、実は非常に密接な関わりがあります。
なぜなら、不眠の原因の多くはリンパの乱れなのです。
リンパが滞りなく流れていないと、眠れないという症状が出やすいといわれています。
そのため、不眠で悩んでいる人の多くは、リンパマッサージで解消できる可能性があります。

不眠の多くは、その原因がわかりにくいとされています。
特に、身体的な問題というよりも精神的な問題が大きい症状ですから、なかなか具体的な治療法が見つかりにくく、精神安定剤や睡眠剤などで応急的な処置を行うケースも少なくありませんが、そういった薬を使う前に、まずはリンパマッサージを試してみましょう。

リンパマッサージが不眠に効くといわれる根拠のひとつは、倦怠感です。
倦怠感を抱える人は、それが肉体的、精神的な問題のどちらであっても不眠になりやすいといわれています。
そのため、倦怠感を解消するためのリンパマッサージが、そのまま不眠の治療になります。
よって、鎖骨下、足などのリンパマッサージが有効です。

また、脇下のマッサージも、不眠には有効といわれています。
脇と不眠は、実はかなり密接な関わりがあり、脇のリンパが滞っていると、非常に高い確率で不眠になってしまうとさえいわれています。
マッサージの方法は、片腕を上げて脇をつかみ、そのつかんだ手を手前に引っ張り、脇を絞るような感じで流し揉みします。
これを何度か繰り返すことで、脇下のリンパの流れを促進することができます。

●冷え性

血液の流れが問題といわれている冷え性ですが、血流だけが問題ではなく、リンパもその要因となっている可能性があります。
そのため、冷え性の治療を行う際には、リンパマッサージをしっかりと行っておく必要があるでしょう。

冷え性は、基本的に慢性になりやすい症状です。
そして同時に、さまざまな別の症状を引き起こす原因となる病気でもあります。
冷え性が慢性化すると、ホルモンバランスが崩壊して老化が進みやすくなり、免疫力が低下したり、代謝がうまくできなくなったりと、悪いことが重なります。
多くの中高年が冷え性に悩んでいますが、その冷え性が原因で別のトラブルを引きこしているという点は、意外と知られていません。
複合的なトラブルを抱えている場合は、まずこの冷え性を改善することで、全体的な健康の回復につながるケースも多々あるのです。

冷え性を治療するためのリンパマッサージは、下半身を重点的に、また広範囲で、定期的に行うことが必要です。
箇所としては、鼠径部、ふくらはぎ、足裏、足首、そして趾間と呼ばれる足の指の間が対象となります。
足首は、爪先を内側へと倒し、足の甲を伸ばすことでマッサージがされます。
足裏は、いわゆる「ツボ」が集中している部分なので、全体的に手の親指で圧迫しましょう。
強めに行って構いません。
趾間部は、各足の指に手の指を一本入れ、グリグリと刺激すると効果的です。
内股は脚の付け根に向けてさすり、ももの上を上方にさすります。

ふくらはぎのリンパマッサージは、脚を伸ばし、足首からスタートします。
ふくらはぎの両側を通過し、膝の裏まで流すように圧迫していきます。
また脇腹からへその下、下腹部に向けてリンパマッサージをします。

●成人病

高血圧は、動脈の硬化を防ぐマッサージをします。首、肩胛骨、肋骨のリンパマッサージの他に、腰の後ろを背骨から前方に向かって横にさすり、全身の疲労をほぐすことにより動脈組織の硬化を防ぎます。

腎臓機能の低下や頻尿の場合は、脇腹のしこりをとるリンパマッサージをします。背面は腰の後ろを背骨から前方に向かって横にさすり、前面は腰骨の上の側腹部からへその下、下腹部にむけてさすります。臀部を後ろから腰骨の上に向かってさすっていきます。

糖尿病の場合は膵臓機能を正常にするマッサージを行います。腹部をみぞおちから下方に側腹部へ向かってさすり、側腹部からへその下、下腹部にむけてリンパマッサージをします。そして背中の下半分を背骨から側腹部へ向かってさすります。

心臓の不調は、胸背筋の硬化をほぐすマッサージを行います。肩の後ろや、後ろ首のリンパマッサージをいます。背中を背骨から脇の下に向かって広くさすり、背中のこりが有る場合は、肩胛骨に沿って上下にさすります。息切れや呼吸困難があるときは、肩の裏側を後ろから前にさすって肩のこりをとりま。そして、背中の肋骨上部を後ろから前に向かってさすり、肩胛骨の上を上から下へ、また横に背骨から脇の下へかけてさすります。肋骨前部の全体を体の中心から脇の下に向かってまんべんなくさすって肩、背中、胸の筋肉の硬直をとっていきます。

●体の痛み

・背中の痛み
肩胛骨の縁にそって脇の下に向けてさすり、また背中全体を背骨から脇の下に向けて広くさすります。

・脇腹の痛み
肋骨部の前方を脇の下にむけてさすり、側腹部を横に前方に向けてさすっていきます。

・腰痛
首、背中のリンパマッサージを行います。背中の下部を背骨から側腹に向けて横にさすり、臀部全体を側腹に向けて斜め上方にマッサージします。内股を脚の付け根に向けてさすり、ももの上を上方にさすります。そしてふくらはぎを上方にさすります。

・五十肩
後ろ首、肩のリンパマッサージを行います。肋骨上部を中心から脇の下に向けてさすり、肩口の後ろを脇の下へ向けてさすります。肩口の前を脇の下へ向けてさすり、肩胛骨の縁にそって背中を脇腹へ向けてさすり、肩のマッサージをします。

・腱鞘炎
首、肩、背中のリンパマッサージを行います。下腕の内側を上方にさすり、上腕の内側を脇の下に向けてさすります。

・ひじの痛み
上腕の外側を上方にさすり、しこりをとります。

・手首の痛み
下腕の内側、外側を上方にさすります。

・歩行困難
腰の側面を脚の付け根に向かってさすり、臀部全体を側腹に向けて斜め上方にさすります。ももの裏側を上方にさマッサージしていきます。

・膝の痛み
ももの前面を上方にさすります。膝のお皿の回りは小さく上方にさすっていきます。

・アキレス腱の痛み
アキレス腱から膝裏にかけてさすり、しこりをとっていきます。

・足首の捻挫
足の指の間から足首にかけて揉み、さすります。足首から上方にさすります。ふくらはぎを上方にさすり、しこりをとっていきます。

・顔面神経痛
顔面を鼻筋からあごの付け根に向かってリンパマッサージを行います。首の側面を付け根に向かって斜め下にさすります。

●自律神経

人間の身体と精神には、密接な関わりがあります。
身体の調子が悪ければ、精神面にも悪影響が出てきますし、心を強く持てば身体は活性化していきます。
精神論というと、古い指導者の押し付けという先入観がありますが、実際には理に適った方法論なのです。
よって、体調が悪い場合は必ずしも身体のどこかに問題があるとは限らず、心の問題を疑う必要がありますし、その逆もあるといえます。

ただ、日常生活において、精神面のトラブルはなかなか肉体と結び付けにくいものです。
たとえば、イライラしたり不安に駆られたり、落ち込んだりしている状況で、それが身体のどこかで生じている問題によるもの、とは思わないのが一般的ですね。
普通は、何かストレスの原因があったり、未来への懸念があったりして、無意識にそれを感じているという解釈をするでしょう。
そういった点でいえば、メンタルのトラブルは非常に厄介な症状といえます。

こういった状況になった場合、身体の面でトラブルになっている可能性が高いのは、リンパです。
リンパの乱れは自律神経の乱れに直接つながります。
そのため、リンパの流れが滞ることで、イライラの原因になったり、めまいや吐き気などの症状が出たりします。
また、何もないのに落ち込んでしまったりすることもあります。
こういったことはなかなか診断でわかるものではないので、日頃から定期的にリンパマッサージを行っておくと良いでしょう。

メンタルに効くリンパマッサージは、主に首から顔にかけてのものです。
イライラを感じている場合は、目頭の下を指で押したり、眉頭から耳のあたりにかけて流したりして、顔のリンパの流れをよくすると良いでしょう。

●疲労

人間の身体が疲労を訴えるのは、体内に疲労物質と呼ばれる成分が蓄積していくからです。
有名なのが、有酸素運動を一定時間行うことで発生する乳酸です。
しばらく走り続けると体内に乳酸が溜まり、疲労を覚えるという仕組みは、スポーツをしている人であればよくご存知のことでしょう。

そんな疲労物質は、いわゆる「老廃物」として体内に蓄積していきます。
これがしっかりと流れずに溜まっていくと、単なる一時的な疲労だけではなく、慢性的な疲労感につながっていき、倦怠感やだるさにもつながります。
よって、いかに疲労を溜めないかということが、体調管理の重要点でもあるのです。

疲労物質が溜まりやすい状態というのは、血管やリンパ管が収縮している状態です。
この状況に陥る原因は、実はストレスだったりします。
精神的な負荷がかかった状態だと、血管やリンパ管は収縮してしまいます。
そうなると、当然そこを流れる血液やリンパ液は流れにくくなってしまいます。
血液やリンパ液は、脂物を多く摂取するとドロドロになるというのは有名な話ですが、ドロドロの状態だとさらに流れにくくなり、血管やリンパ管のいたるところで溜まってしまいます。
こうしたことから、疲労の原因はストレスや食事にもあるといえるのです。

こういった状況の回復は、リンパマッサージの「二重構造」で行います。
まず、血管とリンパ管の回復。
リンパ節のある鎖骨上部や首、顔回りを重点的にマッサージし、収縮した管を拡張させます。
そして、リンパマッサージの性質のひとつである癒し効果でストレスを緩和することで、かなりの改善が期待できます。

●むくみ

健康と美容の両面において、厄介な問題となる「むくみ」。
特に女性にとっては、むくみが大敵となるケースが多いですね。
基本的には、むくみは一時的な症状で、ある程度の期間が過ぎると元に戻ります。
特に顔のむくみはそうで、誰もが一度は経験したことがあるでしょう。
むくみは、ある程度の年齢にさしかかってくると慢性化する可能性があります。
そうなると、顔が張ったり、ボディラインが崩れたりして、美容面において大きな損失となります。
また、健康面においても、肥満の原因となるなど、悪い方向へ進んでしまうのです。

むくみは、リンパの流れが悪い場所で発生します。
そのため、むくんでいる箇所を集中的にマッサージすることで解決する可能性が高いのです。
ただし、注意すべき点がひとつあります。
ただ漫然と揉むだけでは、効果はあまり期待できないということです。

むくみが発生する箇所は、主に顔と手足です。
これらの箇所のリンパの流れをよくするためには、リンパ節をしっかりと抑えておく必要があります。
また、リンパの流れをよくする刺激の仕方を覚える必要もあるでしょう。
むくんでいるところをピンポイントで押すのではなく、その周囲のリンパ管を意識し、身体の内側の方へ流すように揉んだり押したりすることが重要となってきます。

また、これらのリンパマッサージと並行して鎖骨のマッサージも行っておきましょう。
むくんでいる場所ではなくても、ここのリンパに問題があると身体のいたるところでむくみが発生します。
どちらか一方をということではなく、両方のリンパマッサージを行いましょう。

●肌荒れ

美容面において、最も気になる箇所は人それぞれ異なりますね。
顔であったり、腰まわりであったり、脚であったりと、ポイントはたくさんあります。
どの場所も気になるというのが本音の人も、少なくないのではないでしょうか。
ただ、どのポイントにおいても共通しているのは、肌で覆われているという点です。
つまり、肌のトラブルとその解決策は、美容を気遣うほとんどの人にとっての共通の関心事なのです。

肌が荒れることには、さまざまな理由が考えられます。
一番多いのは、老廃物の蓄積です。
新陳代謝がうまくいかず、身体の中に不要となった物質が溜まっていくと、それがだんだんと皮膚の近くで集まってしまいます。
そうなると、シミやくすみなどの原因にもなります。
また、ストレスも肌荒れの原因となりやすいといわれています。

これらの原因は、リンパに集約されます。
老廃物が溜まってしまう原因も、ストレスが肌荒れにつながる原因も、リンパのトラブルによるものなのです。
リンパの流れが悪いと、老廃物が溜まりやすくなります。
ストレスによってリンパ管が圧縮され、狭まってしまうと、やはりリンパの流れが悪くなってしまいます。
逆にいえば、リンパのトラブルをリンパマッサージで解決することで、これらの問題は一気に解決できるということです。

肌荒れ解消のために抑えておきたいリンパのポイントは、頬です。
頬のリンパは、他の症状においてはあまり重要視されません。
しかし、顔面の肌荒れの原因となりやすいのは、頬なのです。
頬のリンパマッサージは、クリームを塗るように回しながら刺激すると良いでしょう。
鼻の両側や頬骨あたりもマッサージすると、さらに効果的です。

●くすみ<

くすみは、年齢をある程度重ねた女性にとっては非常に厄介な問題です。
一度発生してしまうと、なかなか解消できないのがその理由でしょう。
これに関しては、仕方のない部分もあります。
人間、年齢を重ねていけば、少なからずそういった症状は出てきてしまうものです。
とはいえ、顔は一番人目につく箇所であるため、くすみがあるとかなり憂鬱ですね。
実際問題、顔にくすみやシミが出てきてしまったことで、それまで社交的だった人がふさぎこんでしまうというケースは多々見受けられます。
そのため、顔のくすみは若い時から予防しておきたいところです。

くすみを予防する上で、リンパマッサージは非常に有効です。
また、実際にできてしまったくすみの解消にも効くので、既にできてしまっている人も、またその予備軍も、定期的にマッサージをしておきましょう。

くすみができた際に行うリンパマッサージは、首や肩を重点的に行うことが重要です。
顔のくすみの予防にも、首のリンパマッサージが大切になってきます。
特に有効なのは、首の側面です。
横に首を倒し、耳の後部に手を当て、そこから鎖骨へ向けて流すように刺激していきます。
結構長い距離を流し押すことになるので、左側をマッサージする場合は右手を、右側の場合は左手を使うとスムーズにマッサージできます。

また、肩のリンパマッサージは、脇を締め、両手で肩の上部を押さえるだけでも効果的です。
これによって肩だけではなく鎖骨の下の刺激にもなり、非常に効率的です。

●ダイエット

現代のほとんどの女性が、一度は経験しているダイエット。
健康面、美容面の両方において、少なからず必要なことではあります。
ただ、ダイエットをする人の多くは、無理な食事制限を行い、結果として自律神経にダメージを受けたり、精神面で大きな負荷をかけたりしていて、あまり効果的なダイエットができていないのが実状です。
ダイエットは、あくまでも健康に痩せるということが前提としてあります。
そのため、過度の食事制限は決してプラスにはなりません。

健康に痩せる方法としては、運動を定期的にするのが最も理想的です。
人がスリムになるメカニズムというのは決して複雑ではなく、健全な身体を作れば自然に無駄な脂肪は燃焼されていきます。
逆に、不自然な状態が続けば、いくら食事を抜いても脂肪は落ちません。
自然な状態というのは、新陳代謝がしっかりと行われている状態ですね。
これができていなければ体内に蓄積した老廃物が外へ出ていかず、体重は増える一方です。

老廃物を排出するための器官であるリンパは、ダイエットとは切っても切れない関係にあります。
リンパの流れが正常であれば、新陳代謝は正常に行われ、自然と体内の不要な物質も外へ排出されます。
体内機能を正常な状態に戻し、維持する上で、リンパマッサージが有効なのです。

ダイエットのためのリンパマッサージは、やはり腰や下腹などの脂肪がつきやすい部分に集中します。
とはいえ、この箇所をスリムにしたいからといって、その部分を揉んだり押したりすれば良いわけではありません。
たとえば、下腹部を対象とする場合は、肋骨の少し下、あるいは鼠径部などのマッサージが有効です。

ダイエットを行う人の中には、全身を痩せさせたい人と、一部をスリムにしたいという人とがいます。
肥満体型の人や、どこかが突出して太っているわけではないけれど、体重が自分の理想よりも重いという人は、全身のダイエットを行いますね。
ですが、「お腹だけポッコリ出ている」「脚が太い」「二の腕がポヨポヨしている」というような人の場合は、その部分だけを痩せさせたいと願うはずです。
そういう人が行うダイエットは、部分ダイエットと呼ばれています。

部分ダイエットは、痩せる必要のない箇所に負荷を与えることなく、一箇所、もしくは複数の箇所のみを対象としたダイエットです。
ただ、これはあまり効率的とはいえないのが実状です。
一見、その部分に刺激や負荷を与えれば、そこだけ痩せるように思います。
ですが、実際には人間の身体はそうはできていません。
新陳代謝によって老廃物が取り除かれたり、脂肪が燃焼されたりする場合は、リンパや血液の流れというものが大きく関係しているからです。
全身にくまなく行き届くリンパや血液が、体内の不要物を処理してくれています。
そのため、一箇所だけというのは難しいのです。

それでも、ひとつの部分だけ突出して太っている状態は健全とはいえません。
それを正しい状態に戻すという意味では、部分ダイエットは成立します。
たとえば、太ももが妙にパンパンになっている場合は、太もものセルライトがリンパの流れを遮っている可能性があります。
その場合は、リンパマッサージで流れを改善させることで元に戻すことができます。
太もものリンパマッサージは、膝から鼠径部にかけて行います。

●経絡

人間の身体には、経絡(けいらく)と呼ばれるものがあります。
経絡とは、体内において、網目のように無数に枝分かれしている絡脈、あるいは身体の上下に流れている経脈の総称です。
全身における五臓六腑を経由し、循環している脈で、この脈の通り道には、いわゆる「ツボ」があることで知られています。
12の経絡が主だったものとなっており、この部分が人間の身体において担っている役割は、かなり大きいといわれています。

そんな12経絡の健全性を保つためのマッサージとして、経絡リンパマッサージがあります。
経絡リンパマッサージは、12経絡のマッサージとリンパマッサージをそれぞれ基礎としたマッサージ法です。
なぜこの二つがひとまとめにできるのかというと、リンパと経絡は基本的に役割が近く、またマッサージする上での手法も重なるからです。

そもそも、経絡は東洋医学、リンパは西洋医学によって発見されたものであり、それぞれの分野において便宜上分けられていますが、人間の身体を基本とした場合、必ずしも分けて考える必要がないともいわれています。
そのため、経絡とリンパをまとめてひとつのマッサージにするケースは、近年かなり増えています。

経絡リンパマッサージは、ツボを軸にしたマッサージとなります。
そのため、ツボの知識がなければできません。
たとえば、肩こりに対して経絡リンパマッサージを行う場合、腕の内側にある「内関(ないかん)」というツボを刺激します。
また、ヒジの近くにある「手三里(てさんり)」や肩の中央にある「肩井(けんせい)」といったツボも有効とされています。
これらのツボを刺激するマッサージが、経絡リンパマッサージです。

●リンパマッサージをする際の注意点

あらゆるマッサージにいえることではありますが、実際にマッサージを行う上では、自分でする場合と、人にしてもらう場合とがあります。
当然、リンパマッサージも例外ではありません。
自分で行うこともできますし、友達や親類、あるいはエステに通って受けることも選択肢に入ってくるでしょう。
一番手軽にできるのは、やはり自分でリンパマッサージをする方法でしょう。
場所を選ばず、自分の空いた時間に自分でできるので、非常に簡単です。

ただ、自分で行うマッサージは、なかなか効果が現れにくいのも確かです。
手の届く範囲がどうしても限られてしまうのも大きな理由のひとつです。
そうなると目で確かめながらできないことも多くなり、また知識があやふやな人も多いので、リンパの刺激を行っているつもりでも、実際にはできていないというパターンに陥りやすいのです。
そう考えると、自分でリンパマッサージをすることは手軽なようで非常に難易度の高い方法といえるかもしれません。

それでも自分でリンパマッサージをしたいという時には、まず環境づくりをしっかり行いましょう。
リンパマッサージは、お風呂上りが一番効果的といわれています。
身体がある程度温まっている状態だとリンパの流れがスムーズになっているため、収縮したリンパ節を修復しやすくなるためです。
また、市販のオイルを利用するのも有効です。
マッサージオイルを使うとリラックスしながらマッサージできるため、効率が上がります。

健康状態が悪い時や生理中、妊娠中にリンパマッサージをすることは、あまりよくないといわれているので、この点にも注意しましょう。また、熱があるときや、炎症をおこし化膿してる部分には行わないようにします。

●エステに通う際の注意点

マッサージを受けるためにエステサロンに通っている人は、たくさんいます。
エステに通う目的は美容がメインとなりますが、近年では癒しを目的として通う人も増えており、かなりニーズが高まっているようです。
実際、プロの人にマッサージをしてもらうと、自分でするよりもはるかに効果が上がります。
リンパマッサージのようにしっかりとした方法で行う必要があるマッサージでは、特にそうです。
リンパ管がどこを通っているか、どこにリンパ節があるのかといった知識を有している人が行うリンパマッサージは、自分で適当にやるのとはわけが違います。

とはいえ、気になるのはやはりコストですね。
自分でやる分には、いくらマッサージしてもお金はかかりません。
ですから、たとえあまり効果がなかったりしても、損をすることはありません。
しかし、エステに通って効果がないとなれば大きな損失です。

エステでのリンパマッサージの料金は、通うエステサロンにもよりますし、マッサージを受ける時間でも変わってきますが、2時間の施術で2万円強という料金設定が一般的な目安のようです。
安価な料金設定をしているエステサロンの場合は、1万円を切るプランもあるようですが、いずれにしても決して安くはありません。

エステに通う際の注意点は、どの程度の信頼がそのエステ店にあるかということを事前に調べておくことです。
料金設定ばかりにこだわらず、マッサージそのものの質も口コミなどで確認しておきましょう。



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